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キリンビバレッジから発売された「日本茶玄米」のトンパ文字について

 

文字のひとつひとつの意味は、右下の表にまとめてあります。
「納西象形文字譜」(雲南人民出版社出版1982年)を参考にしました。

さらに、独断と偏見をまじえて解説してみましょう。キリンビバレッジのホームページとは、若干違いますが、気にしないでください。

a:  碗に入っている葉っぱを描かない場合の意味は、単に「飲む」あるいは「酒を飲む」になります。

b: 天から、雨だれが落ちている図。よくわかりますね。

c:  「水」ですが、形からでは、ちょっとわかりにくい。

d:  日光が、天から降り注いでいるところです。最初、クラゲかと思ってしまいました。

e: 最初弓を引いているのかなと思いましたが、人が持っているものは、「弓」ではなくて「犂」です。これで田んぼを「耕す」わけです。この「犂」は、単独の文字としても使われます。

f: 「月」です。

g: 下の皿のようなものは「土地」を表します。その上に穀物を植えています。たくさん実るということで「良田」を表します。しかし良く見ると、それは「稲」ではなくて「小麦」になっています。だから「小麦畑」になるのかもしれませんが、細かいとこは気にしないのが、トンパ文字のいいとこでしょう。その昔、麗江に水田はありませんでした。

h: 先端の毛を描かない場合は「樹木」を意味します。

i: 碗の中に入った「米」はわかるのですが、もうひとつ入っているでしょう? これは「鹿の角」らしいのですが、どうしてなのかわかりませんでした。調べたら、トンパ文字の成り立ちにはいろいろな種類があって、これは「注音文字」と言われるもので、その文字のだいたいの意味はわかるけれど、文字の意味をはっきりさせるために、その単語の発音を余分に付け加えるというもの。「米」を意味する単語の発音「チユワ」を別 の文字、この場合は「鹿の角」を添えて「米」の意味をはっきりさせているわけです。だから、「鹿の角」はなくてもかまわないのです。

j: 「食べる」です。お椀を前にした人間が、大きく 口をあけています。

k: 「飛び跳ねる」です。これが、テレビコマーシャルにも出てくる文字です。ただ、キリンのホームページ では「うれしい」と意訳されています。

l&m: 「稲」を「焼く」、このふたつで、ペットボトルに書いてある「網焼きした玄米」を表しているのではないかと思うのですが・・・。違っていますか?

n: 碗の先端の毛のようなものを描かない場合は、「飯」「食事」になって、この毛がつくことで「食が足る」になります。 めでたい言葉だそうです。

o: 数ですが、「千千万万」、つまり「数えきれないたくさんの数」という意味です。キリンのホームページでは、「無限」となっています。

p: 倉が穀物でいっぱいになっているところから「富」を意味します。

q: 帽子をかぶっているのは、「女性」を表します。女性の方が「笑う」からでしょうか? 口から出ているのは、ツバ? いえ、ツバじゃないですね。声を表しているのでしょう。

r: 両足を、速く動かして「走る」。なるほど、なるほど。

キリン 玄米茶 トンパ文字
「日本茶玄米」ペットボトルより

a: お茶を飲む
b: 天が降る
c: 水
d: 晴れる
e: 耕す
f: 月
g: 良田
h: 芽
i: 米
j: 食べる
k: 飛び跳ねる
l: 稲
m: 焼く
n: 食が足る
o: 千千万万
p: 富
q: 笑う
r: 走る
s: 緑色(福)
t: 宴会

日本茶玄米

 

s: 「福」あるいは「緑色」という意味です。これがどうして「緑色」なのでしょうか? 形は「緑松石 」を表していて、その石は「緑色」だから、だそうです。ところが、この「緑松石 」とは「トルコ石」のことで、緑色ではなく、青色です。冬の晴れた日の空の色なのです。それを「緑色」という。どうしてだかわかりません。
  そしてもうひとつ。「納西象形文字譜」には「福」という意味では載っていなかったのですが、「納西東巴経典名句鑑賞」という本には、「福」という意味で使われていた例が、たしかにありました。「トルコ石」の宝石ことば は「成功・命中」、宝石のメッセージは「 旅の守護・繁栄・与える喜び」だそうですから、いずれにせよ、「緑松石 」には「福」的な、良い意味があるわけです。

t: 「宴会」です。または「饗応する」「献ずる」です。座ったふたりが、共に飲み食いしているところなのでわかりやすい。最初、仲のいいふたりが、ひとつの飲み物をストローで飲んでいるようにも見えました。でも、この人たち、両方男なんですよね。
  ところで、キリンのホームページでは、「楽しい」 となっています。


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